水冷式BTOパソコンは冷却性能や静音性に優れ、ゲームや高負荷の作業を快適にこなせるのが魅力です。一方で初期コストやメンテナンス面に注意が必要です。詳しいメリット・デメリットや選び方は、ぜひ本記事の内容をご確認ください。
水冷式BTOパソコンとは?


「水冷式BTOパソコン」とは、パソコンの各パーツを自分好みにカスタマイズできるBTO(Build To Order)方式で購入したPCに、水冷クーラーを採用した冷却システムを組み込んだものです。
BTOパソコンとは

BTOパソコンとは、「Build To Order(注文生産)」の略で、ユーザーがCPU・GPU・メモリ・ストレージなどのパーツを自由に組み合わせて注文し、自分の用途や予算に合わせてPCを手に入れる方式です。
メーカー製の完成品PCよりもパーツの選択肢が豊富で、必要な性能を優先しながらコストを抑えられることが魅力です。
BTOは自分でパーツを選べるので、自由度が高くなります。
必要な性能をピンポイントで選べるため、無駄なコストを抑えることができます。
水冷式とは
水冷式とは、パソコンのパーツ(主にCPUやGPU)の熱を水冷クーラント(冷却液)に伝え、ラジエーターで効率的に放熱する仕組みを採用した冷却方式です。
空冷式に比べて高い冷却性能と静音性が期待でき、長時間の高負荷作業でもパフォーマンスを維持しやすい特徴があります。
一般的には水冷式が空冷式より冷却性能に優れます。
ただしケースの構造やパーツの質によって差が出る場合があります。
水冷式BTOパソコンの仕組み
水冷式BTOパソコンでは、CPUやGPUに取り付けられたウォーターブロックへ冷却液を循環させ、ポンプで熱をラジエーターへ運び出します。
ラジエーターのファンが熱を外部へ放出することでパーツを効率的に冷やすことができます。オールインワン水冷なら配管や液漏れのリスクが抑えられ、比較的導入しやすい点も魅力です。
オールインワン水冷ならメンテナンスはほぼ不要です。
フルカスタムでも定期的な液交換や点検を行えば安定して使えます。
水冷式BTOパソコンのメリット

静音性の高さ

水冷式の大きな特徴の一つは、静音性が高いことです。冷却液が熱を運搬するため、ファンの回転数を抑えられるケースが多くなります。
特に高負荷時の騒音を低減しやすいので、ゲームやクリエイティブ作業に集中したいときに有利です。
状況によりますが、高負荷時ほど水冷式は静かに動作する傾向があります。
ファンが高速回転しにくいので騒音を抑えやすいです。
冷却性能の向上
水冷クーラーは空冷クーラーに比べて熱伝導率が高く、高性能CPUやハイエンドGPUを効率良く冷却できます。長時間のゲームや動画編集など、熱がこもりやすい作業でもパフォーマンスが安定しやすいのがメリットです。
温度が下がることでサーマルスロットリングを防止しやすくなります。
結果的に高い性能を維持したまま作業が可能になるケースが多いです。
CPU・GPUへの負荷軽減
熱を効率的に逃がせる水冷式では、CPUやGPUに余計な熱負荷がかかりにくくなります。高温になりすぎると動作クロックが自動的に下がる現象が起きますが、水冷式であればそのリスクを下げられ、パーツの寿命にも良い影響を与えるでしょう。
水冷式の場合、温度上昇を効果的に抑えられるためクロックダウンが起こりにくいです。
結果的に負荷のかかる作業を安定して続けられます。
水冷式BTOパソコンのデメリット


組み立てやメンテナンスの難しさ

フルカスタム水冷では配管やホースの取り回し、液漏れ対策など、空冷式にはない気を配るポイントが多くなります。オールインワン水冷を選べば手間は軽減されますが、完全にノーメンテというわけではないので、ある程度の知識は持っておくと安心です。
オールインワン水冷を選べば比較的簡単です。
不安な場合はBTOショップのカスタマイズサービスを利用すると良いでしょう。
初期コストの高さ
水冷式クーラーや専用パーツは空冷式よりも価格が高くなりやすく、BTOのオプション料金も上乗せされる場合が多いです。ハイエンド構成ほどコスト差が大きくなるので、予算内で収めるにはバランスを考える必要があります。
セール時期に購入したり、必要最低限の水冷オプションを選ぶなどが有効です。
予算と性能のバランスをじっくり検討しましょう。
水漏れリスク
水冷式という特性上、まれに冷却液が漏れるリスクがあります。品質の高いパーツを選び、適切なメンテナンスを行えばリスクは最小限にできますが、完全にゼロにはできません。液漏れが起きると内部パーツを損傷する恐れがあるため、信頼できるメーカー・ショップを選ぶことが重要です。
まず電源を落とし、機器の通電を止めて被害を拡大させないことが最優先です。
早めにメーカーやショップへ相談し、修理や交換を検討してください。
水冷式BTOパソコンを選ぶポイント

用途に合わせたパーツ選定
ゲーム用か、動画編集・3DCG用かなど、どの分野を重視するかで必要なスペックは変わります。予算と用途を見極め、CPUやGPUを適切に選ぶことが大切です。必要以上にハイスペックにするとコストが跳ね上がるため、バランスを考えて選ぶと良いでしょう。
大まかな目安を決めておくと、余計な出費を抑えられます。
不明点があれば専門ショップに相談するのがおすすめです。
冷却システムの品質
水冷式の要となるポンプやラジエーター、ウォーターブロックの品質は非常に重要です。性能面だけでなく、長期間安定して動作する信頼性も選ぶ基準になります。
ケースのサイズやファンの配置との相性もチェックして、最適な冷却環境を構築しましょう。
有名メーカーのパーツは実績やサポート体制が充実していることが多いです。
ただしレビューや保証内容も合わせてチェックするとさらに安心です。
ショップやメーカーのアフターサポート
水冷式はトラブルが起こった場合、空冷式より複雑になるケースが多いです。BTOパソコンを購入する際は、保証や修理対応、問い合わせのしやすさなど、アフターサポートが充実しているかを確認しておきましょう。
保証の内容や期間、口コミ評価などを調べるとわかりやすいです。
また、電話やメール対応がスムーズかどうかも判断基準になります。
水冷式BTOパソコンの導入をおすすめする人・しない人

ゲームやクリエイティブ作業を行う方
高い処理能力を必要とするゲームや動画編集・3DCG制作などを行う方には、水冷式BTOパソコンが適しています。高負荷な作業でも温度を安定させやすく、パフォーマンスが落ちにくいため、効率的に作業を進めたい場合におすすめです。
動画エンコードや3Dレンダリングなど負荷の高い作業でも効果的です。
パソコンの動作温度をしっかり制御できるので安定した性能が得られます。
静かな環境を求める方
深夜に作業をする方や騒音を気にする方にとって、水冷式の静音性は大きなメリットです。負荷がかかってもファンが高速回転しにくいので、静かな動作音を維持しやすくなります。ただしファンの大きさやケースの形状によっては音が出る場合もあるため、構成の選定が重要です。
ファンの数や品質によって変わります。
静音性を求めるなら、ファンやケースの選択にもこだわるのがおすすめです。
PCのメンテナンスが苦にならない方
オールインワン水冷であれば基本的にメンテナンスフリーに近いですが、数年後に交換を検討する必要が出てくる場合もあります。
フルカスタム水冷では、冷却液の交換やホースの管理など定期的なメンテナンスが必要です。こうした作業を厭わず、むしろ楽しめる方なら、水冷式のメリットを存分に活かせます。
記事のまとめ
・水冷式は空冷式に比べ冷却性能が高く高負荷時のパフォーマンス維持に役立つ
・水冷式はファン回転数を抑えることができ騒音を軽減しやすい
・オールインワン水冷ならメンテナンスが比較的簡単で初心者にも導入しやすい
・フルカスタム水冷は自由度が高いが配管や液漏れなど注意点が多い
・空冷式よりも初期コストが上がりやすいので予算計画が重要
・水漏れリスクを最小限にするには定期点検と信頼性の高い製品選びが欠かせない
・サポート体制がしっかりしたBTOショップやメーカーを選ぶと安心